はじめに
高度専門職ビザで日本に滞在している方は、海外に扶養家族がいるケースも多くみられます。このビザは専門性や実績を基にポイント制で審査され、本人だけでなく配偶者や子供、親など家族にも優遇措置が提供される点が特徴です。今回は、海外に家族がいる場合に在留資格更新時に注意すべきポイントと、不許可を回避するための具体的な対策について解説します。
高度専門職ビザにおける家族帯同の仕組み
高度専門職1号・2号ともに、配偶者や子供は「家族滞在」や「特定活動(33号・34号)」として帯同できます。特に要件を満たせば、親を日本に呼び寄せることも可能で、世帯年収800万円以上などの要件があります。通常の就労ビザと比較して幅広い帯同が認められていますが、要件の確認が必要です。
海外在住の扶養家族について注意すべき点
- 在留期間更新申請時のポイント
高度専門職の更新には、初回申請時同様「高度人材ポイント制」で審査されます。70点未満の場合は更新不許可になるため注意しましょう。海外に扶養家族がいる場合でも、家族への仕送りや通信などの扶養事実を疎明する書類が重要です。 - 家族関係証明書類の準備
家族滞在や特定活動の場合、戸籍謄本や結婚証明書、出生証明書など身分関係証明書が求められます。海外在住の場合、現地の公的機関が発行した原本(もしくは認証済みコピー)が必要となります。翻訳文も用意し、証拠書類が不足しないように整えてください。 - 扶養事実の立証
申請者が海外の家族を扶養していること(仕送りの記録や生活費支出の明細など)を証明できなければ、扶養の実態が認められないリスクもあります。銀行送金記録や通信履歴、定期的な渡航記録など実態を明示する書類を充実させてください。 - 経済力・安定した収入の証明
高度専門職では世帯年収の要件が厳格です。源泉徴収票、住民税の課税証明書、納税証明書など過去一年分を提出し、十分な扶養能力と安定収入を示すことが重要です。 - 永住申請や在留資格変更との関係
高度専門職2号や永住申請などを併用する場合も、家族構成・収入・帯同条件など個別の要件があります。更新時には、申請時点での最新情報で条件を満たしているか再度確認してください。
不許可を避けるためのポイント
- ポイント表に基づく必要書類(学歴・職歴・年収証明)の適切な準備
- 家族関係や扶養事実を証する根拠資料の充実(証明書原本+翻訳、送金記録など)
- 収入証明と納税記録の漏れがないよう事前確認
- クレームが考えられそうな事項(離婚、家族の死去、連絡不通等)は事前に相談・対策すること
- 申請内容や書類に虚偽・不備がないよう注意(政府公式フォーマットの使用推奨)
- 家族の帯同や滞在には「家族滞在」「特定活動」等の適切な在留資格を選択すること
ケース例
例えば、Aさん(35歳・男性・IT技術者)が「高度専門職1号」で在留し、母国に妻(33歳)と子(5歳、7歳)がいるとします。Aさんは毎月家族に生活費を送金しており、ビザ更新時には仕送りの銀行記録・家族関係証明書(公証済み結婚証明書と出生証明書)・収入連動の証明書を揃えて提出しました。家族関係や扶養事実の証明書に不足がなかったため、無事更新が認められました。
よくある失敗例と対策
- 扶養事実が曖昧(送金実績が数か月止まっていた…→送金頻度や生活費支出記録を毎回保存する)
- 家族関係証明書が原本でなくコピーのみだった…→公的機関発行の原本+日本語訳を添付
- 収入が70点未満に下がっていた…→ポイント計算を事前に見直し、追加ポイントの根拠資料を用意
まとめ
高度専門職で、海外に扶養家族がいる場合の在留資格更新では、「扶養事実・家族関係証明・収入証明」などの根拠資料の充実が最大のポイントです。不明点があれば必ず事前に専門家や地方出入国在留管理局に確認・相談し、最新情報を基に手続きすることを推奨します。ポイント基準、必要書類、要件は定期的に変更されるため、法務省や出入国在留管理庁の公式サイトをチェックしましょう。