はじめに
近年、日本で働く外国人が増加する中、在留資格「特定技能」の申請や更新時に住民税や国民健康保険料など公的義務の履行状況が厳しく確認されています。本記事は、滞納があった場合の影響や具体的な対処方法を、2025年現在の制度動向や公的情報を踏まえて詳しく解説します。
住民税・国民健康保険料の滞納が特定技能許可に及ぼす影響
在留資格「特定技能」の変更申請や更新申請の際、申請者本人や受入れ機関の住民税・社会保険料の滞納状況が審査において重要な評価要素となっています。
具体的には、
- 住民税や国民健康保険料を自己の責めに帰すべき理由で一定程度滞納している場合、特定技能の許可が不許可となる可能性が高いです。
- 受入れ機関(企業等)が未納の場合も、特定技能外国人の受入れ自体が認められないことがあります。
- 特に2027年度以降は、滞納情報が在留審査に直接反映される仕組みが導入予定です。
公的義務履行状況の具体的な確認書類
- 直近1年分の個人住民税課税証明書および納税証明書
- 納税緩和措置(猶予)を受けている場合にはその通知書
- 国民健康保険料や国民年金の納付記録
未納がある場合でも、納税緩和措置(換価の猶予、納税の猶予、納付受託)の適用中であれば、消極的要素にはなりません。
滞納がある場合の対応策・許可取得のポイント
滞納がある場合でも、以下の対応によって審査上のマイナス要因を減らすことが可能です。
- 未納分は速やかに納付すること。可能であれば、申請前に全額支払いを完了してください。
- 納付が困難な場合は、役所や年金事務所で「減免申請」「猶予申請」を行う。許可になれば証明書も提出可能です。
- 急ぎ申請が必要な場合は、「公的義務履行に関する誓約書」を提出し、今後の対応方針を明確に示す。
- 滞納の理由や今後の改善策を説明書に記載すると、前向きな評価につながることがあります。
- 企業側でも、従業員への特別徴収(給与からの住民税天引き)や納税管理人制度など、制度面の理解と支援が求められます。
事例
たとえば、東京都内の建設会社で働くAさん(30歳・ベトナム出身)は、国民健康保険料の未納が在留期間更新の申請時に発覚しました。Aさんは未納分を全額納付し、税務署で納税証明書を取得。理由書も添付して責任と改善策を示し、特定技能1号の更新許可が下りました。このように、誠実な対応と証拠書類の提出が重要です。
最新動向・制度改正のポイント
- 2027年度以降は、国民健康保険料・住民税の納付状況が入管審査でデジタル連携される方針です。
- 悪質な滞納や長期滞納、自己責任による未納の場合は、更新・変更申請が不許可となることが明確です。
- 在留資格変更や更新手続きでは、納税証明や保険料納付記録が必須となっています。
まとめ
住民税や国民健康保険料を滞納している場合、基本的に特定技能ビザ取得や更新が不許可となるリスクが高くなります。しかし、未納分の納付、納税猶予申請、公的義務履行誓約書の提出など、制度のルールに沿った誠実な対応が許可取得の重要なポイントです。制度改正による審査の厳格化が進むため、日常的に公的義務をきちんと履行しましょう。