はじめに
経営管理の在留資格(通称「経営管理ビザ」)は、日本で事業を営む外国人の方が取得するために必要な資格です。しかし、申請時や更新時に事業が未稼働、つまり売上がゼロの場合でも申請・更新が認められるかどうかは、多くの方が疑問に感じるポイントです。本記事では、経営管理ビザの申請・更新にあたり、事業が未稼働の場合でも認められるための条件や注意点について、最新の政府公式情報をもとにわかりやすく解説します。
経営管理ビザとは
経営管理ビザは「経営・管理」の在留資格と呼ばれ、日本で会社を設立し、事業運営または管理を行う外国人に認められる在留資格です。取得には事業の実体や会社の資本金、事務所の確保などが要件となり、日本での安定的かつ継続的な経営活動が期待されています。事業活動や経営方針が書面で求められるため、準備が不可欠です。
売上ゼロでも申請・更新が認められる条件
1. 事業実体の有無
売上がゼロの場合でも、事業そのものの「実体」が存在しているかどうかが最も重要です。実体とは、会社設立が完了しており、事務所の賃貸契約や事業計画が具体的に整っていることを指します。また、従業員の雇用予定や備品・設備の準備も証明となります。単なるペーパーカンパニーは申請の対象外です。
2. 事業計画の妥当性と具体性
未稼働であっても、収益構造や今後の売上見込み、集客方法、営業活動の進捗などを具体的かつ現実的に示す必要があります。例えば、「来月から営業開始予定」「○月に仕入れ契約を締結済み」「現地調査済」などの資料や記録の提出が求められます。
3. 事務所の実在性
事務所が単なる名義貸しやバーチャルオフィスではなく、物理的に存在し、業務が遂行可能な状況であることの証明が必要です。賃貸契約書や写真、光熱費の請求等も有効な証拠となります。
4. 資本金など財政面の充実
最低500万円以上の資本金が確保されていることが必要(新規設立時)です。運転資金の支払い記録や、仕入・設備投資に関する支出明細なども提出できると、審査上有利です。
5. 真実性・継続性の説明
「営業活動は行っているが未だに売上がない」「コロナ禍や市場の影響で売上発生が遅れている」等の理由も、具体的に状況・計画を説明することで認められるケースがあります。虚偽の説明や事業実体のない申請は即却下となります。
事例
Aさん(35歳、独身)は都内で貿易会社を設立し、経営管理ビザの新規申請を準備していました。事務所は本格的な賃貸契約済・資本金は600万円確保・初年度事業計画を作成済・現地調査や仕入予定先との調整中でした。ただし営業開始は来月からで、売上はまだゼロ。しかし、具体的な営業活動記録や打ち合わせ資料を提出した結果、「事業の実体・具体性あり」と判断され、在留資格が認められました。
このように、売上がゼロでも事業の実体と今後の具体的計画、状況説明を丁寧に行うことが重要です。
注意点
・バーチャルオフィスのみの利用や、事業計画の不十分な場合は認められません。
・虚偽説明や形式だけの会社設立は在留資格の剥奪リスクが高まります。
・審査状況は法改正や時期・地域によって異なるため、最新情報は法務省や入管庁の公式サイトで必ず確認してください。
まとめ
経営管理ビザの申請・更新において、事業が未稼働(売上ゼロ)であっても、実体のある事業計画・事務所の実在性・資本金確保などが確実に示されれば認められる可能性が十分にあります。しかし、最新の法令・行政指導と自分の状況を常に確認し、正確な資料準備を心がけることが成功の鍵です。申請前には法務省公式情報や行政専門家への相談も検討しましょう。