はじめに
経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)は、日本で外国人が会社を設立し、経営や管理に従事する際に必要な重要な資格です。このビザの取得条件の中で特に注目されるのが「資本金500万円以上」という要件です。しかし、実際には500万円未満の資本金で申請できるのか、また資本金以外の条件や不許可リスクの回避方法について正確に理解することが重要です。本記事では、政府の公式情報を元に、最新の基準や実務的なポイント、不許可リスクを回避するコツを丁寧に解説します。
資本金500万円の基準の意味
経営管理ビザでは、日本の出入国管理及び難民認定法に基づき、事業の規模を示す指標として、資本金の額または出資総額が500万円以上であること、もしくは日本に常勤の職員を2名以上雇用していることが求められています。この500万円という金額は、単に資本金の最低ラインというだけでなく、「事業が継続的で安定的に運営される見込みがある」ということを客観的に示すための基準となっています。
資本金500万円未満でも申請できるケース
2025年8月現在の制度では、「会社設立資本金が500万円未満」でも必ずしも申請不可というわけではありません。資本金の代わりに、日本に2名以上の常勤職員を雇用することで事業規模の要件を満たせば、経営管理ビザの申請は可能です。また、複数の出資者がいて総額が500万円を超える場合は、申請者が全額出資していなくても条件を満たします。
さらに、2024年からは特定の有償新株予約権(J-KISS型など)による払込金も資本金として認められ、資本金の計上方法に柔軟性も出てきました。このため、500万円を直接現金で用意しなくても、経営計画などの資料で事業の安定性を説得力を持って示すことが求められます。
2025年からの資本金要件の動向
ただし、法務省では経営管理ビザの資本金要件の引き上げが検討されており、資本金500万円から3000万円への大幅な引き上げ案が報道されています。この引き上げは事業の実態や適正な運営を強化し、ペーパーカンパニーの排除や不正利用の防止を目的としたものです。まだ確定していませんが、今後のトレンドとしては注意が必要です。
不許可リスクの回避方法
経営管理ビザの申請・更新で不許可になる主な原因は、以下のような点です。
- 事業の赤字継続や経営計画の不十分さ
- 経営者本人の経営管理業務への関与不足
- 税金や社会保険の未納、許認可や届出の不備
- 事業の実態が曖昧で、雇用状況や事業所が不明確
これらは、事前の綿密な経営計画の作成や資金の流れの明確化、適切な常勤職員の雇用及び社会保険加入などで回避できます。また、書類の不備を防ぐために入管法に詳しい行政書士など専門家の協力を得ることが非常に有効です。
まとめ
- 経営管理ビザの基準として「資本金500万円以上」または「日本に2名以上の常勤職員を雇用」が求められています。
- 500万円未満の資本金でも2名以上の職員雇用などで要件を満たせれば申請可能です。
- 今後、資本金要件は3000万円に引き上げられる可能性があり、最新情報に注意が必要です。
- 不許可リスク回避には、経営計画の具体化、適切な雇用、社会保険加入、許認可取得などが重要です。
- 専門家の支援を受け、正確な準備を進めることが成功の鍵となります。