はじめに
経営管理ビザ(在留資格「経営・管理」)は、日本で会社設立・経営を希望する外国人にとって重要な在留資格です。近年は「他の外国人と共同代表」として申請されるケースも増えていますが、この場合は独特の注意点や不許可のリスクがあります。本記事では、最新の公的情報に基づき、効果的な申請方法や失敗しやすいポイントについて解説します。
経営管理ビザとは―正式名称と概要
正式名称は「経営・管理」です。申請者は自ら日本で会社設立・経営、もしくは既存事業の管理に従事することが求められます。学歴や日本滞在歴が問われない点も特徴ですが、事業の安定性・継続性を重視した審査があります。
共同代表申請の基本条件
共同代表申請(外国人2名以上)の場合、次の条件を必ず確認しましょう。
- 各々が実質的な経営・管理活動に参画し、意思決定や重要業務に関与していること
- 単なる役員就任や名義貸しでは在留資格が認められません
- 事業規模・業務量・売上などを踏まえ、複数人で経営する「合理的理由」を明示できること
- 各共同代表が明確な業務分担を担い、役職や報酬が明確なこと
不許可事例に学ぶ注意点
不許可となる代表例として、以下のようなケースが公的情報で挙げられています。
- 役員になっているだけで実質的な業務参加や決定権がない場合
- 事業所が住居と共用で、事務設備や標識が整備されていない場合(住居・事務所兼用はハードルが高い)
- 賃貸契約書が事業用でない、名義が法人になっていない等、形式面で事業所要件を満たしていない場合
- 報酬額が不適切、もしくは業務分担の記載が不明瞭な場合
申請時に押さえるべきポイント
申請時に有効な対策として、以下の点を徹底しましょう。
- 共同代表それぞれの活動内容、役割分担を事業計画書等で詳細に記述する
- 出資割合や意思決定権(代表権)は公式資料・契約書などで明示する
- 事業所は法人名義で確保し、標識や事務設備の整備状況を提出資料で示す
- 報酬額は、経営者として妥当な水準を客観的に説明可能にする
- それぞれの経歴や過去の管理・経営経験(3年以上推奨)を証明できる資料を準備する
- 税務・社会保険等の義務履行が適正であることを証明する
事例
【事例例1】
輸入雑貨業で外国人A・Bがそれぞれ500万円を出資し会社設立。Aは海外取引の実務経験者、Bは経理・在庫管理の専門家。それぞれ分担した分野で明示的に意思決定し、報酬も出資比率により決定。事業所は法人名義で賃貸契約・標識を完備。公的条件をすべて満たし、在留資格を取得。
【事例例2】
運送業で外国人C・Dが地域と業務を分担し、各自出資額に応じて責任を持ち、事業所・報酬・業務分担を具体的に示したケース。双方が実質的運営に参加し、個別審査を突破。
まとめ
経営管理ビザの共同代表申請は、名義的な役員や曖昧な業務分担では不許可となるリスクが高く、申請ごとに厳密な個別審査が行われます。出資・役割・報酬・事業所・経歴など、公的基準を満たす資料を用意し、各代表者が実効性をもって経営参加していることを明示することが重要です。行政書士などの専門家に相談しながら準備することで、失敗を防ぐことができます。