はじめに
日本で外国人が事業を経営・管理するために必要な「経営管理」の在留資格は、事業の持続的な運営と安定的な発展を証明するため、資本金や従業員雇用の要件が定められています。特に、従業員を雇用していない場合は、申請や更新でどのような影響があるのか、不許可となるリスクをどのように回避できるのか、疑問が多いところです。本記事では、公的情報をもとに、従業員を雇用していない場合の経営管理ビザの申請・更新におけるポイントと不許可回避の具体策をわかりやすく解説します。
経営管理の在留資格の基本要件
経営管理ビザを取得・更新するためには、以下の主要な要件が必要です。
- 事業所の確保:日本国内に明確に区切られた専用の事業所があること(バーチャルオフィスや自宅の一室は基本的に不可)
- 資本金・従業員に関する基準:
- 資本金が500万円以上であること、または
- 常勤日本人または永住者の従業員を2名以上雇用していること
- 事業の適正性・安定性・継続性:違法性がなく、適切に管理・運営されている事業であること
- 申請者の経営管理への実質的な参画:実際に経営・管理に関わっていること
なお、資本金500万円以上あれば従業員の要件を満たさなくても申請が可能ですが、500万円未満の場合は2名以上の従業員雇用が求められます。
従業員を雇用していない場合の影響
従業員を全く雇用していない、資本金も500万円未満の場合、次のような影響があります。
- 申請・更新で不許可リスクが高まる
雇用していない場合は、資本金要件を満たしていなければ、事業の規模や安定性に疑問が持たれやすく、更新の審査が厳しくなります。 - 在留期間が短縮される傾向
経営管理ビザは初回1年が一般的ですが、従業員雇用がなく資本金も低いと、更新時に1年や半年など短期の在留期間に限定される可能性があります。 - 事業の安定性の証明が困難
雇用創出が経営管理ビザの重要な評価指標であるため、従業員雇用がない場合はその代わりとなる収益計画や実績を強く示す必要があります。
不許可を回避するための方法
1. 資本金500万円以上を目指す
資本金を500万円以上に増資することで、従業員雇用の要件を満たさなくても申請可能となり、不許可リスクが大幅に減少します。
2. 具体的かつ実現可能な事業計画書の作成
収益見込みや経費計画、経営戦略を詳細に示し、事業の安定性と将来性を裏付ける書類を用意します。例えば、一時的な赤字でも改善計画が確立されていることを明示するとよいでしょう。
3. 事業所の実態を示す証拠を整える
バーチャルオフィスなどは認められないため、明確に区切られた事務所が借りられていることを示す契約書や写真を提出します。
4. 賃貸契約や取引履歴、財務状況の適切な管理
売上計上の根拠となる請求書、入金履歴、税務申告書などを揃え、税務署に対しても適正な申告を行っていることを証明します。
5. 社会保険加入の検討
従業員がいない場合も、経営者本人が厚生年金や健康保険に加入していることは経営の信頼性向上につながります。加入は義務ではありませんが、更新審査で好ましい材料となります。
6. 専門家への相談
改善計画書の作成や申請書類の準備は、入管業務に詳しい行政書士などの専門家に依頼することで精度が上がり、不許可リスクを減らせます。
まとめ
経営管理ビザの申請・更新においては、従業員を雇用していない場合も資本金500万円以上の確保や具体的な事業計画の準備、事業所の実態証明などが重要です。審査は厳格であり、事業の安定性や継続性をしっかり示すことで、不許可のリスクを回避できます。専門家への相談も大きな助けとなるため、計画的な準備をすすめましょう。