はじめに
外国人材の雇用を検討している事業者や、特定技能ビザで日本での就労を目指す方にとって、「赤字決算の会社で在留許可が下りるのか」は非常に関心が高いテーマです。2025年4月の制度改正により、特定技能外国人をめぐる運用や審査基準も一部見直されています。本記事では、最新の法務省や出入国在留管理庁の公的情報を元に、赤字決算でも審査が通る可能性や注意点を詳しく解説します。
特定技能制度の基本と2025年改正のポイント
「特定技能」には1号と2号があり、1号は最長5年の在留が可能、2号は熟練人材向けで在留期間の上限がなく、家族帯同も認められます。2025年4月の制度改正では、対象分野の拡大や手続きの簡素化などが実施されており、申請内容や企業側の義務がより明確化されています。
赤字決算が在留許可申請へ与える影響
公式な基準として、「赤字決算そのものは必ずしも不許可理由とはならない」とされています。むしろ、重要視されるのは、企業の経営が継続的に行われる見込みがあるかどうかです。企業活動には一時的な赤字も想定されており、単に「赤字だから不許可」とはなりません。しかし、以下の点に注意が必要です。
- 企業の継続性や、将来の事業計画が現実的かどうか
- 従業員の給与支払い能力が維持されているか
- 労働関係法令の遵守状況や、適切な社会保険加入がなされているか
申請時のポイントと審査で見られる点
赤字決算でも、「今後事業を継続していく具体的計画」や「一時的な損失であり、財務体力に問題が無い」ことを説明資料で裏付けられれば、許可が下りる可能性は十分にあります。
- きちんとした資金繰りや回復計画が提示できているか
- 赤字の原因や、今後の改善見通しが説明されているか
- 所属機関(企業等)が必要な支援体制(生活支援・相談体制等)を整えているか
これらは審査の際に非常に重視されます。また、2025年4月以降は様式や申請資料の内容も一部変更されているため、最新の情報を随時確認することが重要です。
事例
例えば、建設業のA社(従業員20名規模)は、2024年度決算で利益はマイナスとなりましたが、次年度の大型受注が決定しており、キャッシュフロー上も余裕がありました。同社は特定技能1号の雇用申請時に、将来計画や受注予測、給与支払い体制の説明資料を添付したことで、無事に在留許可が下りました。このように、赤字決算でも将来性・継続性が客観的に示せれば、審査に通ることがあります。
まとめ
赤字決算そのものは「在留許可の即不許可理由」ではありません。企業活動の継続性や、今後の現実的な経営計画が示せるかどうかが大きなポイントです。最新の制度改正の内容も踏まえ、状況ごとに適切な対応と準備を行うことで、特定技能ビザの取得は可能です。申請準備に不安がある場合は、専門の行政書士等への相談をおすすめします。