はじめに
建設業許可を取得したあと、意外と見落とされがちなのが「建設業の許可票(いわゆる金看板)」の掲示方法です。
営業所の壁にとりあえず掛けているだけでは、法律上のルールを満たしていない場合もあり、行政指導や過料の対象になるおそれもあります。
この記事では、建設業許可票を「どこに」「どのような内容・サイズで」「どのように」掲示すべきかを整理して解説します。
これから許可票を作成・設置する方はもちろん、すでに掲示している方もチェックリスト代わりにご活用ください。
建設業許可票とは?掲示義務の基本
建設業許可票とは、建設業の許可を受けている事業者であることを一般の人に示すための標識です。
建設業法では、許可を受けた建設業者に対し、所定の場所へ許可票を掲示する義務を課しています。
掲示義務があるのは主に次の二つの場所です。
- 建設業を営む「店舗(営業所)」
- 元請・下請を問わず工事を行う「建設工事の現場」
許可票の掲示は、単なる形式ではなく、許可業者であることの証明であり、発注者や近隣住民に対する「見えるコンプライアンス」として重要な役割を持ちます。
掲示場所のポイント:「公衆の見やすい場所」とは
法律上は「公衆の見やすい場所に掲示すること」と定められていますが、「見やすい場所」とはどこを指すのでしょうか。
実務上、次のような点を押さえておくと安心です。
- 事務所の中の奥まった場所ではなく、来訪者や通行人が自然に目にする位置
- 外部から事務所内が見える場合は、入口付近や窓際などから容易に確認できる位置
- 工事現場の場合は、現場入口のゲート付近や仮囲い、現場事務所の入口付近など
たとえば、社長室の壁にさりげなく掛けているだけで、一般の人の目に触れないような掲示は「公衆の見やすい場所」とは言えません。
「第三者が現場や営業所を訪れたときに、すぐ気づくかどうか」を基準に掲示場所を選ぶとよいでしょう。
許可票に記載すべき主な項目
許可票の記載内容は、営業所用と工事現場用で少し異なります。代表的な項目は次のとおりです。
営業所に掲げる許可票(店舗用)の主な項目
- 商号または名称
- 代表者の氏名
- 一般建設業か特定建設業かの別
- 許可を受けている建設業の種類(業種)
- 許可番号
- 許可年月日
- 許可権者(国土交通大臣か、どの都道府県知事か)
工事現場に掲げる許可票(現場用)の主な項目
- 商号または名称
- 代表者の氏名
- 主任技術者または監理技術者の氏名
- 主任技術者(監理技術者)が専任かどうか
- 資格名や資格者証の番号など(必要な場合)
- 一般建設業か特定建設業かの別
- 許可を受けている建設業の種類(業種)
- 許可番号
- 許可権者
- 許可年月日
現場用の許可票では、実際にその工事を担当する技術者の氏名を記載する点が大きな違いです。
また、許可権者の表示は「国土交通大臣」「千葉県知事」など、実際に許可を受けている権限者と一致させる必要があります。
許可票のサイズ基準と材質の考え方
許可票には、最低限満たすべきサイズの基準が設けられています。
一般的な基準として、次のサイズが用いられています。
- 営業所に掲げる許可票
- 縦35cm以上 × 横40cm以上
- 建設工事の現場に掲げる許可票
- 縦25cm以上 × 横35cm以上
これより小さいプレートを使うと、文字が小さくなり読みにくくなってしまうため、基準を下回らないよう注意が必要です。
一方、材質については法律で細かく決められているわけではなく、「文字が判読できる状態を保てること」がポイントになります。
雨や日射、風などの影響を考えると、次のような材質がよく選ばれています。
- 金属製プレート(いわゆる金看板)
- アクリル板や樹脂製プレート
- 印刷物を透明カバーに入れたもの(屋内用)
特に屋外の工事現場では、紙をむき出しで掲示するとすぐに破れたり色あせたりしてしまいます。
耐久性や視認性を考えながら、現場の環境に合った材質を選びましょう。
元請・下請、現場ごとの掲示ルール
「許可票は元請だけが出していればよい」と誤解されることがありますが、そうとは限りません。
建設業の許可を受けている事業者は、元請・下請を問わず、自社が工事に参加している現場ごとに許可票を掲示する必要があります。
自社の看板を目立たせたい、元請の表示と並べたい、といった事情がある場合でも、掲示義務そのものがなくなるわけではありません。
また、許可票に記載される「許可年月日」や「許可番号」は、許可更新や業種追加のたびに変わることがあります。
次のようなタイミングでは、許可票の内容を見直し、必要に応じて作り直すのが安全です。
- 許可更新をしたとき
- 一般から特定、または特定から一般に変更したとき
- 業種の追加許可を取得したとき
- 商号変更や代表者変更を行ったとき
さらに、許可の有効期間が満了したり、廃業したりして許可の効力がなくなったにもかかわらず、以前の許可票を掲げ続けることは、「許可業者である」と誤認させる表示として問題になります。
許可が切れた、事業形態を変えた、といった場合には、許可票の撤去や差し替えを忘れないようにしましょう。
よくあるミスと注意点
許可票の掲示について、実務上よく見られるミスを挙げておきます。
- プレートが小さく、サイズ基準を満たしていない
- 営業所の奥の会議室などに掲示していて、外部からほとんど見えない
- 現場用の様式を営業所に掲示している、あるいはその逆になっている
- 代表者や商号を変更したのに、許可票だけ古いままになっている
- 許可を受けていないのに、紛らわしい表現のプレートを掲示している
こうした状態を放置すると、行政からの指導や監督処分につながるリスクがあります。
新しく許可票を作成する際はもちろん、何年も前に作ったままのプレートを使い続けている場合も、この機会に一度チェックしてみると安心です。
まとめ
建設業許可の許可票(看板)は、営業所と建設工事の現場ごとに掲示が義務付けられている重要な標識です。
掲示場所は「公衆の見やすい場所」でなければならず、事務所の奥ではなく、入口付近や現場のゲート周辺など、第三者の目に自然に触れる位置を選ぶことが求められます。
サイズは、営業所用で縦35cm以上×横40cm以上、現場用で縦25cm以上×横35cm以上が一般的な基準であり、材質は屋外環境でも文字が読み取れる耐久性のあるものを選ぶのがポイントです。
また、元請・下請を問わず、許可業者であれば現場ごとに掲示が必要であり、許可の更新や商号変更などがあった際には、許可票の内容も忘れずに更新する必要があります。


