はじめに
日本で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格(通称:技人国ビザ)を持つ外国人の方にとって、在留期限の管理は非常に重要です。在留期限をうっかり忘れてしまったり、申請準備が間に合わない場合、不法滞在となるリスクがあるため、正しい知識と迅速な対応が求められます。本記事では、在留期限が切れそうな時や、申請が間に合わない場合の具体的な対処法について、出入国在留管理庁などの公的情報をもとに詳しく解説します。
在留期限と更新申請の基本
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、通常1年、3年、5年などの期間が付与されます。在留期限の3か月前から更新申請が可能であり、満了日までに必ず在留期間更新許可申請を行う必要があります。
申請が遅れると不法滞在(オーバーステイ)となり、退去強制や罰則の対象となるため、早めの準備が大切です。
申請が間に合わない場合の特例措置
やむを得ず在留期間満了日直前に申請した場合、審査期間中に在留期限を過ぎてしまうことがあります。この場合、「特例期間」が設けられており、以下のいずれか早い日まで適法に在留できます。
- 更新許可がされる日
- 従前の在留期間満了日から2か月を経過する日
この特例により、申請中は在留カードの裏面に「手続中」のスタンプが押され、審査結果が出るまで同じ条件で就労・生活が可能です。ただし、30日以下の在留期間の在留資格者には適用されませんので注意してください。
在留期限を過ぎてしまった場合の対応
万が一、更新申請をしないまま在留期限を過ぎてしまった場合は、すぐに最寄りの出入国在留管理局に出頭してください。数日程度の遅れであれば、理由書や追加書類を提出することで、更新に応じてもらえる場合もありますが、これは保証されていません。
在留期限を1日でも過ぎると原則として不法滞在者となり、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、さらには退去強制の対象となるリスクがあります。
追加で必要となる書類例
在留期限を過ぎてしまった場合、通常の申請書類に加え、以下のような書類が必要になります。
- 在職証明書
- 勤務先から発行された継続雇用を説明した文書
- 在留期限が過ぎてしまった理由書
状況によっては、さらに追加資料の提出を求められることがあります。
事例紹介
Aさん(中国籍、30代、ITエンジニア)は、技術・人文知識・国際業務ビザで日本の企業に勤務していました。多忙のため在留期限の管理を失念し、満了日直前に気づいて慌てて更新申請を行いました。審査期間中に在留期限を迎えましたが、在留カード裏面に「手続中」のスタンプが押され、審査中も引き続き就労できました。
一方、Bさん(ベトナム籍、20代、通訳)は、うっかり在留期限を3日過ぎてしまいました。すぐに入管に出頭し、理由書を提出して事情を説明したところ、厳重注意のうえで更新申請が受理されました。ただし、今後同様のことがあれば不許可や強制退去のリスクが高まると指摘されました。
注意点と行政書士のサポート
- 在留期限の管理は自己責任です。会社や同僚任せにせず、必ず自身で管理しましょう。
- 申請書類の不備や、職務内容の変更、転職などがある場合は、追加書類や個別の説明が必要になることがあります。
- 早めの相談・準備が肝心です。行政書士など専門家のサポートを活用することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ方は、在留期限の3か月前から更新申請が可能です。やむを得ず申請が間に合わない場合でも、特例期間の制度により、一定期間は適法に在留・就労できますが、決して油断は禁物です。万が一在留期限を過ぎてしまった場合は、すぐに入管へ出頭し、事情を説明しましょう。
在留資格の更新や管理に不安がある場合は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。