はじめに
外国人を新設会社(設立直後の会社)で雇用し、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を申請する場合、「新設会社だから許可されないのでは?」と不安に思う方は多いのではないでしょうか。しかし、実際には適切な条件と準備を整えれば、新設会社でも在留資格の許可を得ることは可能です。この記事では、法務省や出入国在留管理庁などの公的情報をもとに、不許可を回避するためのポイントを詳しく解説します。
「技術・人文知識・国際業務」在留資格の基本要件
在留資格の定義と対象業務
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、理学・工学などの自然科学分野や法律・経済などの人文科学分野に属する技術・知識、あるいは外国の文化に基づく思考や感受性を必要とする業務に従事するためのものです。
主な取得要件
- 学歴・職歴要件:大学卒業(日本または海外)または該当業務について10年以上の実務経験(国際業務は3年以上)。
- 業務内容の関連性:学歴や職歴と従事する業務内容が明確に関連していること。
- 報酬要件:日本人と同等以上の報酬が支払われること。
- 雇用契約:日本国内の企業と雇用契約を締結していること。
新設会社での申請が難しい理由
新設会社(設立直後の会社)は、事業の安定性や継続性が不透明なため、既存企業と比べて審査が厳しくなる傾向があります。特に「会社の経営状態」「事業の継続性」「外国人雇用の必要性」などが重点的に審査されます。
不許可を回避するための具体的ポイント
1. 学歴・職歴と業務内容の関連性を明確に証明
- 学歴・職歴証明書の提出:卒業証明書や成績証明書、職務経歴書などで、申請者が持つ知識や経験と、従事予定の業務内容が密接に関連していることを示します。
- 職務内容の具体的説明:単純作業や専門性のない業務は認められません。業務内容が高度な専門性を要し、学んだ内容や経験が活かされることを具体的に説明しましょう。
2. 会社の事業計画・経営の安定性を丁寧に説明
- 事業計画書の作成:新設会社では、今後の事業展開や収益見込み、雇用計画などを詳細に記載した事業計画書が重要です。
- 資金調達や売上見込みの根拠資料:資本金の額、金融機関からの融資、契約予定の取引先との契約書など、会社の安定性を示す資料を用意します。
- オフィスや設備の実態証明:事業所の賃貸契約書やオフィスの写真など、実際に事業が行われている証拠を提出します。
3. 外国人雇用の必要性を論理的に説明
- なぜ外国人が必要なのか:申請者の専門性や語学力、母国とのビジネス展開など、日本人では代替できない理由を明確に説明します。
- 業務内容と申請者の適合性:申請者が担当する業務が、なぜ「技術・人文知識・国際業務」に該当するのかを客観的に示します。
4. 雇用契約書・給与規定の整備
- 日本人と同等以上の給与水準:給与が日本人と同等またはそれ以上であることを雇用契約書や給与規定で明記します。
- 雇用期間や労働条件の明確化:雇用期間、職務内容、勤務場所などを明確に記載した雇用契約書を用意します。
5. 実務研修の取り扱いに注意
- 研修内容の説明:採用当初に実務研修がある場合、その内容が日本人新卒社員と同様であり、在留期間全体で見てごく一部であることを説明します。
- 専門性のない業務は不可:研修期間中も、単純作業や専門性のない業務が主となる場合は認められません。
6. 必要書類を漏れなく提出
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 雇用契約書
- 事業計画書
- 会社の登記事項証明書
- 決算書(設立直後の場合は資本金証明や今後の収支計画)
- オフィスの賃貸契約書や写真
- 申請者の卒業証明書・成績証明書・職務経歴書
- その他、必要に応じて取引先との契約書やパンフレット等
よくある不許可事例
- 学歴や職歴と業務内容が一致しない(例:教育学部卒が弁当工場で箱詰め作業)。
- 業務内容が単純作業や専門性のない内容と判断された場合。
- 会社の事業計画や経営の安定性が不十分で、継続性が疑われた場合。
まとめ
新設会社で「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するためには、学歴や職歴と業務内容の関連性の証明、会社の安定性や事業計画の明確な説明、外国人雇用の必要性の論理的な説明が不可欠です。書類の不備や説明不足があると不許可となるリスクが高まりますので、事前にしっかりと準備しましょう。最新の法務省や出入国在留管理庁のガイドラインも必ず確認し、不明点は専門家に相談することをおすすめします。